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リポジトリ提供論文200件目記念インタビュー
Q.「Resveratrol Impaired the Morphological Transition of Candida albicans Under Various Hyphae-inducing Conditions.」はどのような内容ですか?また、この研究を始められたきっかけを教えてください。 この研究は今年度まで続いた、口腔科学研究センターの「口腔アンチエイジングによる生体制御」がテーマであるHRC7プロジェクトで実施したものです。Candidaというのはカビの一種で、健康な人の体内にもいるものです。通常、体内にあっても問題ありませんが、免疫力が落ちている時や老人に対しては真菌症という感染症を引き起こすことがあります。また、入れ歯を使っている老人の口腔内にもよく見かけられるものでもあります。Candida albicansは通常は酵母という丸い形で存在しているものですが、環境に応じて菌糸を伸ばすことができるユニークなカビです。ポリフェノール系化合物であるResveratrolを使うと、その菌糸の増殖と、酵母形から菌糸形への形態変換能を抑えることができる、という内容の論文です。Resveratrolは科学雑誌『Nature』でマウスの延命作用が発表され注目され始めました。その一方で微生物に対しては増殖を阻害できるという報告もあり、真菌であるCandidaに対する作用はどうか、ということで研究を行いました。Candidaはヒトの細胞と似ているため、Candidaだけに効く薬は作りづらいので、そのような点からも臨床に役立つかと思います。 Q.現在進行中の研究について教えてください。 Candidaが口腔領域で真菌症を起こす際に、どのように菌が定着し病原性を発揮するのか、というところに興味を持っています。それに関与する遺伝子の候補に焦点を当て、現在研究を進めています。また、生化学講座としては再生分野にも力を注いでいます。歯根膜細胞等を用いた研究を進め歯科ならではの視点で貢献できればと考えています。 Q.リポジトリに掲載された論文をどのような人に読んでもらいたいですか? 基礎の研究をされている先生方はもちろんですが、今回のCandidaに関する論文は臨床の先生方にも馴染みがあるかと思うので、是非読んでいただいてご意見いただけたらうれしいです。また、シンプルに書いてある論文なので、微生物学を勉強し始めた学生さんにも読んでもらいたいです。 Q.東京歯科大学学術機関リポジトリおよびオープンアクセスについてご意見、感想をお願いします。 他大学のリポジトリも時々見るのですが、本学のリポジトリ"IRUCAA@TDC"は非常に使いやすいと思います。学位論文なども載っているので、大学院生や勉強熱心な学生さんにも活用して頂けるとよいのではないでしょうか。また、現場を離れた研究者や臨床家の先生が、図書館に行くことができなくても、自宅でインターネットを通して論文が読めると言う利点があり有用だと思うので、もっとリポジトリが広がることを期待します。オープンアクセスについては、図書館は予算の厳しい中、雑誌価格の高騰などで、購入が大変かと思うので、非常に有益な手段だと思います。インターネットで見ることができると論文の視認性も上がります。オープンアクセスにより論文のインパクトが上がるという記事を読んだことがあるので、そういった意味でもオープンアクセスには期待しています。研究者が大学を離れた時も、その論文が適正に保管されればずっと閲覧可能なのも価値があると思います。 Q.研究で使用しているデータベースやツールなどがありましたらご紹介ください。 PubMed、Scopusなどを良く利用しています。Scopusは図書館で開催された講習会に参加後に利用するようになりました。テーマ検索以外でも著者同定のために検索することがあります。 Q.移転後の図書館に期待することがあればお願いします。 専門書、オンラインジャーナルの充実を期待します。専門書は新しい出版のものを利用しています。技術の進歩、新しい情報が必要、ということもあり、おおよそ過去10数年の図書を利用することが多いです。過去20年分の図書を移転するという計画案を伺いましたが、妥当かと思います。電子ブックなどについては読むことを考えると、やはり紙ベース、冊子体で読みたいです。 Q.若い研究者や学生にお勧めする本があればご紹介ください。 『アット・ザ・ベンチ』と『Essential cell biology』は、大学院生として生化学講座に残ることになった時に木崎先生からプレゼントされた思い出深い本です。大学院生や基礎的な研究を始める方に役立つと思います。『Essential cell biology』は原書で読むことをお薦めします。『問いつめられたパパとママの本』は理科の苦手な学生さんにいいかなと思います。今は亡き映画監督の伊丹十三さんが、昭和40年代に書かれたものです。「甘いものを食べ過ぎると虫歯になるのはなぜ?と言ったような、身近な「なぜ?」に答えている面白い本です。
Bruce Alberts Dennis Bray Karen Hopkin Alexander Johnson Julian Lewis Taylor & Francis
柴山和子先生お忙しい中ご協力ありがとうございました。
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