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Open Access Week 2015 特別企画 三者連続研究者インタビュー
Q.現在取り組んでいる研究について教えてください。 摂食嚥下リハビリテーション研究室の大学院生と一緒に、食べ物を飲み込む時に食べ物を押し出して絞り出す圧力がどのようなものかを計測する研究をしています。この時の圧力について説明すると、ケーキを作る時のクリームを絞り出すようなイメージです。レントゲンビデオでその様子を観察する研究はあるのですが、圧力についての研究はありません。例えばストローを使った訓練で筋肉が丈夫になると言われますが、圧力計で計測することで、どの程度改善されたのかが明らかになり、勘ではなく、エビデンスとして使えるようになります。将来的には介護の現場での活用を視野に入れています。 Q.思い出の研究について教えてください。 学位論文の研究です。研究について、何も知らない時代にラットの咀嚼リズムの研究をしました。失敗の思い出の方が多かったのですが、ラット相手に格闘して、「研究」とは何なのかを知ったことが思い出です。食事の時間も惜しみ、カレー鍋を研究室に持ち込み、食事しつつ、研究に工夫を凝らしたことを思い出します。 Q.オープンアクセスについてご意見、感想をお願いします。 私が監事を務める学会でオープンアクセスについて議論をしています。著作権、あるいは会員サービスなどの課題があります。歯科医師ではない介護の現場スタッフが会員として多いことや、インターネット環境のない会員へのサービス提供なども課題です。学会費を払っているのに、雑誌は誰でも見られるとなると会員サービスとしての問題が出てきます。今後は発行1年後に公開するなど、オープンアクセスを前提として議論を進めていく必要があると思います。 Q.図書館に期待することがあればお願いします。 東京歯科大学は単科大学ですが、電子ジャーナルに多くの予算を投入し、頑張っていると思います。購読タイトル数を維持していくのは大変かとは思いますが、日本もコンソーシアムの活動でもっと安価に利用できるようになると良いかと思います。 Q.若い研究者や学生にお勧めする本があればご紹介ください。 1. 火の賜物 : ヒトは料理で進化した人類は火を使ったから進歩したと言われていますが、食べ物からみた進化論が書かれています。火を使い、ジャガイモなどの根菜類も煮炊きすると中のデンプンが消化できます。 しかし、デンプンを煮ると糊ができます。糊が歯にくっつくと、歯垢となるので、ヒトの唾液アミラーゼは特に進化し、糊を分解してくれるようになったそうです。火を使うようになってからのヒトの化石の中に歯垢が見受けられるそうです。歯科医師の論文等も多く引用され、歯科医師が知っていても良いと思います。 2. フードトラップ 食品に仕掛けられた至福の罠 ある食品メーカーの研究所がおこなった研究で糖分、脂肪分、塩分等、を組み合わせると、人間の嗜好を刺激して麻薬的に食べたくなる配分があります。たとえば、おいしいポテトチップスがそれにあたります。食品メーカーの研究者たちが集まり、このような研究を秘密裡にやっても良いのかという話が出たのですが、結果的に秘密裡に行こうということになったのをニューヨークタイムズの記者がすっぱ抜いたもので、興味深い内容になっています。歯科医師にとっては味覚の話にも関係して来るのでお薦めします。
山田先生お忙しい中ご協力ありがとうございました。
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